劇薬「丸サ進行」を酷使! なぜ『紅白』は似たような曲が多い?
昨年大晦日に放送された『第71回NHK紅白歌合戦』。
ストリーミングでの再生回数が2億回を突破したYOASOBIの『夜に駆ける』、SNS上で数々のパロディ動画が拡散された星野源の『うちで踊ろう』、official髭男dismの『I LOVE…』、Foorinの『パプリカ』…。番組内では、昨年話題となった数多くのヒットソングが披露された。しかし実はこれら全ての楽曲に、とある共通点があったことをご存知だろうか?
■ヒットソングに隠された秘密
上記の楽曲はどれもメロディは異なるものの、どこか似ているように感じたことがある人も多いはず。それもそのはず、いずれの楽曲にも「丸サ進行」と呼ばれるコード進行が使われているからだ。
「丸サ進行」は元々、ジャズやリズムアンドブルースといったジャンルで使用されていた「落ち着いていて大人っぽい、都会的な夜の雰囲気」を醸すコード進行だった。しかし昨年の紅白を見れば分かる通り、近年のヒットソングでは非常に多く使われている。そしてこのコード進行をJ-POP内で流行らせた立役者が、今や紅白の常連であり、昨年も『東京事変』として出場を果たした椎名林檎なのだ。
今から20年ほど前、椎名は自身の楽曲である『丸の内サディスティック』にこのコード進行を使用。それまでのJ-POPとは異なるオシャレな曲調によって爆発的な人気を博し、「丸サ進行」という名称が生まれるきっかけとなった。
■なぜ現代の音楽シーンで「丸サ進行」が流行っているのか?
最も大きい理由の一つが、音楽を聞くシチュエーションの変化だ。『YouTube』や『TikTok』などの動画サイトや各種ストリーミングサービスなどが普及したことで、「プレイリストを一人でながら聞きする」シチュエーションが一般的になっていく。この環境の変化によって、大勢で盛り上がれるパーティチューンよりも、落ち着いた雰囲気の音楽がリスナーに求められるようになっていったと言える。
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